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タイトル | 分身ロボットを活用した病気療養児の遠隔教育支援 |
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施策・事業名称 | 病気療養児の遠隔教育支援事業 |
都道府県名 | 鳥取県 |
分野 | 教育・文化 |
事業実施期間 | 平成29年8月17日~ |
施策のポイント |
○病気療養児の教育機会の確保や学習意欲の維持・向上 ○学習、学校生活に関する不安感の解消、円滑な復学 |
内容 |
1 事業の概要 ○本県では、分身ロボット「OriHime」を活用した病気療養児の遠隔教育支援事業に取り組んでいる。 ○平成29年度から県内3校(小学校1校、特別支援学校2校)での利用を開始し、平成31年度からは県内の全公立学校に対象を拡大した。 2 背景・課題 平成26年1月に日本が批准した「障害者の権利に関する条約 第24条 教育」の中では、「障害者が、その人格、才能及び創造力並びに精神的及び身体的な能力をその可能な最大限度まで発達させること。」「障害者が自由な社会に効果的に参加することを可能とすること。」が明記されているが、児童生徒一人一人の最大限度の発達を促し、社会に効果的に参加していくためには、社会の中で生活する上で生じる障がいを改善するための支援を整え、教育の充実を図る必要がある。 本県では医療的ケア体制の充実や訪問教育の実施により、個の実態に応じた全ての児童生徒の教育の充実を目指しているところであるが、移動の制限、感染のリスク回避等のために集団での学習が困難な児童生徒や入院等による一時的な集団や他の児童生徒とのかかわりに制限がある児童生徒にあっては、他の児童生徒とのかかわりや学び合いによる多様な価値観や豊かな概念の形成の機会が制限されている。 また、集団の中で活動に参加しているように見える児童生徒の中には、発声や運動が難しく自分の意思を表出することが困難で、思いはあってもそれを表現できないために主体的に活動に参加することが難しい児童生徒もいる。 3 事業内容 (1)目的 同時双方向通信が可能なICT機器やロボットを活用した病気療養児の遠隔教育を推進することで、児童生徒の学習を保証するとともに、人間関係を含めた円滑な復学を進める。 (2)事業概要 病気療養児が常時在籍する病弱教育の特別支援学校及び院内学級設置校に「OriHime」(計8台)を配備し、同時双方向通信型の遠隔授業を実施して学習の充実及び円滑な復学につなげる。 また、必要に応じて一定期間入院、自宅療養等を行う公立学校の児童生徒に「OriHime」を貸し出し、「OriHime」を介して本人と学校をつなぎ、日常的に仲間と会話したり一緒に活動に参加したりすることにより、円滑な復学につなげる。 ■遠隔授業支援 児童生徒側にiPad(OriHimeアプリ使用)、教室に「OriHime」を設置し、双方向通信により遠隔学習を行う。児童生徒は「OriHime」をとおして教室の状況を確認でき、発言や挙手等も可能なため、積極的な授業参加ができる。 また、屋外でも通信できる機器を準備することで、校外における学習活動の疑似体験ができる。 ■コミュニケーション支援 「OriHime」の音声出力機能や動作機能を用いて、児童生徒のコミュニケーションツールとして活用する。「OriHimeアプリ」は直接操作及び視線入力に対応しており、児童生徒の実態に応じた入力方法で操作できる。 (3)効果 ア 病院や家庭が教室となっている場合、物理的に距離が離れた状態により活動・参加が難しい児童生徒が、空間的制約を取り除き、授業に参加することができる。 イ 発声や運動の困難さにより、意思の表出が難しく、活動や参加が難しい児童生徒の音声等のコミュニケーションを可能にすることができる。 (4)使用機器 ア 分身ロボット「OriHime」 カメラ・マイク・スピーカーが搭載されている上半身人型のロボット。インターネットを通して操作し、手を挙げる、首を振る等の動作、音声出力等が可能。 モニターが付いていないため、使用者は周りの環境や自身の姿を気にすることなく使用することができる。 イ OriHime アイ コンピュータに接続して使用する視線入力装置。視線を動かすことで「OriHime」を操作可能。 4 成果 (1)遠隔授業支援 児童生徒の障がいの程度や心身の発達の段階に応じて「OriHime」を使用することで、学習に参加することができた。 県立特別支援学校では、これまでもフェイスタイム等で映像と音声の総方向通信を行って遠隔授業を行っていたが、「OriHime」は分身となるロボットの動きにより、操作する児童生徒は自分の意図したアクションをしたり、見たい方向を見ることができるため、より積極的な活動への参加が可能になった。 病院や家から外に出ることが難しい児童生徒は、豊かな感覚刺激や経験が不足し、概念形成に偏りを生じやすいが、「OriHime」を使って疑似体験等を重ねることで、児童生徒の障がいを改善し、調和的な発達を促す教育が可能になる。 また、「OriHime」配置側の児童生徒にとっても、「OriHime」のアクションにより存在感が増し、音声言語だけではコミュニケーションが難しい児童生徒にとっても動作により意図が理解できるというよさが感じられた。 (2)コミュニケーション支援 肢体不自由の麻痺が強い児童生徒にとって、視線入力可能な「OriHimeアイ」は思い通りにロボット動かしたり、発声や発音の困難さを補うことができたりと、積極的に社会とつながっていく有効な方法であると感じた。児童生徒の体調等を考慮して学習を進めているため、実施回数はまだ少なく、はっきりとした成果の検証ができていないが、継続的に使用していくことで児童生徒の社会的な障がいの軽減につながることが期待できる。 また、対人コミュニケーションに困難さを感じて社会活動への参加ができない児童生徒にとっても、社会とつながる手段となり得る可能性を感じた。 |
本件問合先 | 鳥取県教育委員会事務局特別支援教育課 |
0857-26-7574 | |
tokubetusienkyoiku@pref.tottori.lg.jp |