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タイトル 全国の一歩先行く子育て支援策~保険適用外の不妊治療費助成、産後ケアの無償化、高校生通学費助成創設など~
施策・事業名称 【子育て世帯の経済的負担軽減】1.高校生通学費助成事業、2.私立高等学校等就学支援金支給等事業、3.不登校対策事業【妊娠、出産、子育ての身体的・精神的負担軽減】4.産後ケア無償化事業/産後ケア実施のための施設整備支援事業、5.願いに寄り添う妊娠・出産応援事業/願いに寄り添う不妊治療拡大支援事業
都道府県名 鳥取県
分野 健康福祉
教育・文化
人口減少対策
事業実施期間 令和2年4月1日~
施策のポイント 鳥取県では、平成22年の「子育て王国」建国以来、各市町村の協力の下、第三子保育
料の無償化や小児医療費の助成等、全国に先駆けた子育て支援に取り組んできたところ
である。令和元年10月からの幼児教育・保育無償化により単県事業の一部が、国にふり替わることによる財源を活用し、令和2年度から、子育て支援を一歩進める。施策立案にあたっては、県民アンケートの子育ての負担感に基づき、新たに「子育て世帯の経済的負担軽減」、「妊娠、出産、子育ての身体的・精神的負担軽減」の支援策として、5つの事業に取り組む。
内容 【子育て世帯の経済的負担軽減】
1.高校生通学費助成事業
○現状・課題
県内の高等学校に通う生徒の約4割がバス、JR等の公共交通機関を利用しており、特に山間地域などから遠距離通学している生徒の保護者負担が大きい。
学びの多様化が進む中、通学費を理由に生徒が希望する学びを諦めることがないよう支援が必要。
○取組内容
助成要件:
公共交通機関の通学定期券を利用して県内の高等学校等に通学する生徒の保護者
助成額:
・月額実費負担額に対し7,000円を超えた額を助成(補助割合:県1/2、市町村1/2)
・月額実負担額7,000円以下の部分に対して市町村が通学費用の実態を踏まえて控除額を引き下げて助成を拡充する場合や寮・下宿費を助成する場合に市町村が助成する額の1/4を県が市町村に補助
財源内訳:県1/2、市町村1/2(7,000円以下の拡充助成部分は県1/4、市町村3/4
総事業費:76百万円(うち県負担額32百万円)
○効果
・就学期の子どもを抱える世帯の経済的負担の軽減
・子どもたちが通学費用を理由に希望する学びを諦めることがないよう支援
・県内市町村における定住の維持及び移住の促進
・公共交通機関の維持。

2. 私立高等学校等就学支援金支給等事業
○現状・課題
私立中学校に通う生徒については、平成22年度(6月補正)に、国の高等学校等就学支
援金制度に準じた県独自の中学校就学支援金制度を創設した。
国の私立高等学校等の就学支援金制度において、令和2年度に、年収590万
円未満世帯を対象に支給額の上限額が引き上げられ、国制度だけでは授業料支援額の差が大きくなったため、県独自に高等学校等総合支援金を創設した。
また、県独自に行っている私立中学生に対する就学支援金についても上限額の引き上げを行った。
○取組内容
私立高等学校等(含私立専修学校(高等課程))及び私立中学校に通学する生徒の授業料
等の保護者負担額について、就学支援金制度に加えて、年収等の区分に応じた補助を行う。
(1)令和2年度より国制度である高等学校等就学支援金に加えて、高等学校等総合支援金を創設し上乗せ支援を実施
ア 生活保護世帯に対し、86.4千円を上限に授業料以外のその他納付金を支援
イ 住民税非課税世帯に対し、43.2千円を上限に授業料以外のその他納付金を支援
ウ 年収590万円以上700万円未満世帯に対し、118.8千円を上限に就学支援金と授業料の差額に対して支援
エ 年収700万円以上800万円未満世帯に対し、59.4千円を上限に就学支援金と授業料の差額に対して支援
(2)高等学校等就学支援金制度に準じた県独自の私立中学生への支援金制度を創設し、高校生と同額の授業料等支援を実施
(令和2年度に高等学校等就学支援金の上限額引き上げにあわせ、県独自の支援である中学校就学支援金の上限額も引き上げ)
○効果
私立中学校・高等学校の授業料等にかかる家庭の教育費負担を軽減することで、公立・私立をあわせ、子どもたちの進路の選択肢を増やすことが可能となる。

3.不登校対策事業
○現状・課題
本県では、フリースクールの教育的意義等を踏まえ、平成26年度から、300万円を上限として運営費の1/2について補助を行っているが、補助対象となっているフリースクールの会費は毎月15,000~30,000円であることに加え、別途、実習費や校外学習費、通所に係る交通費などの経費が必要となることから、通所する児童生徒の保護者の経済的負担は大きなものとなっている。
全国及び本県で認知されている不登校児童生徒数は過去最大を更新(令和4年度調査)しており、コロナ禍において生活環境が大きく変化し、人と人との距離が広がる中、不安や悩みを相談できない子どもたちが増えた可能性があることが指摘されていることから、不登校の子どもたちを取り巻く環境は極めて深刻な状況にある。
○取組内容
フリースクール等に通う児童生徒の通所費用等(授業料、交通費、実習費等)に対して支援を行う。【財源 県】
ア 授業料に対する補助事業(補助率1/2、補助金上限額(児童生徒1人あたり 6,600円/月))
※ 市町村が、児童生徒の通所費用等に対して助成を行う場合に、当該市町村の助成事業費に対して助成を行う。
イ 交通費、実習費等に対する補助事業(補助率1/2、補助上限額(小学生1人あたり1,500円/月 中学生1人あたり3,000円/月))
○効果
様々な事情により学校に通いたくても通えない子どもたちがフリースクール等で学ぶための費用を支援することにより、子どもたちが、学校以外の民間教育施設等において自立に向けた学びや成長を続けることができるとともに、将来的にその児童生徒が登校を希望したときに円滑な学校復帰が可能となる。

【妊娠、出産、子育ての身体的・精神的負担軽減】
4.産後ケア無償化事業/産後ケア実施のための施設整備支援事業
○現状・課題
産後における児童虐待やうつ病を予防・早期発見するために、各市町村において保健師による訪問・面談や産後健康診査が行われ、支援が必要な産婦に対しては産後ケア事業等が行われている。産後ケア事業は産婦に対する心身のケアに効果がある一方、各市町村で定める利用料を徴収しており、ケアを受けることが必要な心身の状態等であるにも関わらず、産後ケアを受けることをためらう方の中には利用料がネックとなっているケースがある。また、産後ケア(宿泊型)を行う施設が少なく、受け皿を広げる取組みが必要。
○取組内容
上記の課題認識のもと、次の事業を実施。
ア 産後ケア無償化事業
市町村が実施する産後ケア事業利用料を無償化した市町村に対し県が助成を行う。
・実施主体 市町村
・助成額 産後ケア利用料を無償とするために必要な額
・補助率 10/10
イ 産後ケア施設・設備整備事業
産後ケア(宿泊型又はデイサービス型)を行うにあたり、施設や設備を整備するために必要な以下の経費(ただし、当該施設運営職員の人件費に関するものは対象外とする。)を助成する。
・実施主体 事業所
・補助上限額 1か所あたり次のとおり
  宿泊型:3,000千円、デイサービス型1,000千円
・補助率 1/2
○効果
経済的な理由で産後ケアを受けることをためらうケースは減少し、支援が必要な方が等しく必要な支援を受けられる環境づくりに寄与すると考えている。
また、産後ケアを行う助産所が増えることによって、受入可能人数の増に寄与するものと考えている。

5.願いに寄り添う妊娠・出産応援事業/願いに寄り添う不妊治療拡大支援事業
○現状・課題
近年の晩婚化に伴い、女性が妊娠する年齢も上昇しているが、一般的に高年齢での妊娠・出産は様々なリスクが高まる一方、出産に至る可能性は低くなることから、特に不妊症の場合は、夫婦が早期に適切な診断を受けて治療を開始することが必要である。しかし知識不足や経済的理由などから検査に行くことを躊躇し、治療開始が遅れる夫婦も多い。
また、これまでの特定不妊治療が令和4年度から保険適用とされたことにより、治療に取り組むための経済的な負担だけでなく精神的な負担も抑えられるなどのメリットがある一方で、保険適用の治療のみでは妊娠に至ることが難しく、保険適用外となる治療が必要となる方にとっては、保険適用後も経済的負担が増加するケースが見込まれるため、負担が増加することなく、より有効性の高い治療を受けられるような支援が必要である。
※保険適用により、A.基本的な治療、B.先進医療として認められたオプション治療、C.その他のオプション治療に区分され、Aが保険適用とされた。BについてはAとの併用は可能だが、B部分の治療費は全額自己負担、CについてはA基本的な治療部分も含めて全額自己負担とされた。
また、妊娠しても流産や死産を繰り返し、結果的に出産に至らない不育症については、保険適用外となる治療もあり費用が高額となる。一部市町村では助成制度が創設されているが、助成制度が創設されていない市町村も多いため、県内での支援を促進していく必要がある。
○取組内容
ア 不妊検査費の助成額及び対象者
【助成額】
保険適用外となる費用の全額(上限26,000円)
【対象者】
・検査開始日の妻の年齢が43歳未満
・検査開始日において法律上の婚姻から3年以内の夫婦または妻の年齢が35歳未満の夫婦(事実婚含む)
・所得制限なし
イ 保険適用外となる不妊治療への助成(令和4年4月1日開始、令和6年4月1日拡充)
【保険外併用で実施された先進医療への補助】
 50,000円/回を上限に助成
【全額自費診療で実施される治療への補助】
(1)先進医療ではない保険適用外となる治療を含む場合
(2)保険適用される治療回数を終えた方が、継続して治療を実施する場合
   (治療開始が40歳未満の場合は7回目以降、40歳以上の場合は4回目以降が対象)
(3)年齢制限により保険適用を受けられない方が治療を行う場合
   (43歳までに不妊治療を開始し、43歳以降も不妊治療を継続する方が対象)
 〔助成上限額〕
  採卵を伴う治療     30万円/回
  採卵を伴わない治療  11万円/回
 〔助成回数〕
  保険適用の場合と同じ。
  (治療開始時における妻の年齢が40歳未満の場合は6回/1子、40歳以上の場合は3回/1子)
(4)保険適用外治療で実施されるPGT-A検査の補助
   鳥取県内の医療機関でPGT-A検査(混合診療)となる場合に(1)~(3)に追加助成する。
 〔助成上限額〕
  15万円/回
 〔助成回数〕
  (1)~(3)に準ずる
(5)自己負担上限額定額補助
  (1)~(4)の助成を受けた後の自己負担額が、高額療養費制度を活用した場合の自己負担額を上回る場合、上回る額の1/2を助成。
【着床前検査(PGT-M)助成金交付事業】
 重篤な遺伝性疾患をもつ子どもが生まれる可能性のある夫婦が、医師が必要と認めた着床前検査(PGT-M)を行う場合に助成。
 〔助成上限額〕
  1,050千円/回
ウ 不育症検査費等の助成
不育症の検査のうち先進医療として告示された検査費用について助成する。また、市町村が独自に不育症の検査や治療に係る助成事業を実施する場合に、県がその市町村に対して助成額の1/2補助を行い、不育症に対する支援を推進する。
エ(継続)不妊専門相談センターを県内2か所に設置し、相談体制の充実を図る。
○効果
不妊検査について、所得制限を撤廃し、43歳未満の県内在住者であれば誰でも全額助成で検査を受けることができるようになり、入り口が広がった。
特に経済的負担が大きかった特定不妊治療費については、令和2年度に県の上乗せ額を拡大したことで、市町村の助成と合わせると治療費の約7割(保険適用相当額)の助成となり、拡充前と比較して経済的負担軽減が図られた。これにより、助成実績が増加傾向にあり、保険適用でさらに不妊治療に取り組む方が増加した。また、可能な限り早期に治療が開始できると、治療にかかる身体的な負担軽減や、出産率の向上も期待できる。
関連
ホームページ
https://www.pref.tottori.lg.jp/290480.htm
https://www.pref.tottori.lg.jp/279603.htm
本件問合先 鳥取県子育て・人財局子育て王国課(1)、鳥取県子育て・人財局総合教育推進課(2,3)、鳥取県子育て・人財局家庭支援課(4,5)
kosodate@pref.tottori.lg.jp