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タイトル | デジタルツール活用による衛生監視業務の変革 |
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施策・事業名称 | 未来型オフィス実現プロジェクト(市場衛生検査所) |
都道府県名 | 東京都 |
分野 | 健康福祉 |
事業実施期間 | 令和3年8月1日~ |
施策のポイント |
東京都福祉保健局では、豊洲市場の水産物等の衛生監視の業務を行っている市場衛生検査所において、タブレットとノーコード/ローコードツールを使って衛生監視業務等をデジタル化した。具体的な内容は以下の通り。 (1)デジタルツール(アプリ・クラウドサービス)の導入による衛生監視業務の効率化・質の向上 ・監視結果等を現場で記録しデータ保存 ・各施設の衛生管理状況等をデータベース化し二次利用 ・重要申送事項等を監視員間で共有 (2)監視に必要な各種参考資料のペーパーレス化 ・有毒魚ハンドブック、貝毒情報、各業界のHACCP手引書、関係法令等をクラウドやインターネット上で参照 (3)通話アプリ等を用いた各班・事務室間の情報伝達 |
内容 |
(1)開発の経緯・課題 食品衛生法が改正され、令和3年6月からHACCP (ハサップ、Hazard Analysis and Critical Control Point)に沿った衛生管理が完全義務化となったことにより、監視指導における点検項目等が大幅に増加。引き続き適切な監視指導を実施するため、以下のような課題を解決し、業務の効率化や質の向上等を図る必要があった。 ・衛生監視業務における監視結果等は現場で紙に記入しており、継続的な指導に必要な履歴の確認がしづらい上に、システム入力や集計が手作業 ・衛生監視を実施するためには、常に最新の情報を参照する必要があるが、参考資料が紙媒体であり大量の紙を使用 ・各監視班同士や、現場と事務所との間で簡易に情報をやり取りするツールがないため、情報共有や緊急連絡が困難 (2)開発の過程 庁内のデジタル化担当部署と連携しながらノーコード/ローコードツールを使ってアプリケーションを試作し、現場での試用テストを通じて確認・改善を繰り返すアジャイル手法を用いて開発を進めた。 (3)完成に至るまでに直面した問題・課題、その解決方法 初期段階に試作品でテストを行ったところ、現場で監視指導を行う職員からは使いづらいという声があがった。そこで、現場の職員にしかわからないことをアプリへ的確に反映させるため、豊洲市場で働く職員自らがノーコードで(コードを書かずに)、ツールを使ってアプリを改良していった。 また、デジタル化担当部署と市場衛生検査所間で、メールではなく、クラウドツール上の課題管理表でオープンにやりとりし、現場の職員が対応できない部分について、デジタル化担当部署の職員がローコードで(最小限のコードを書いて)改良するという流れでアジャイルに開発を進めていった。 (4)ソリューション完成後の成果や効果 1.衛生監視業務の効率化 デジタルツールが導入されたことで、事業者への聴き取りや実施記録の確認などのプロセスを継続的に記録し、効率的に管理することが可能となった。 2.ペーパーレス化 これまで紙で携行していた有毒魚図鑑等を電子化したほか、入荷事例等のデータベースもタブレットに搭載することが可能となり、現場での鑑別の利便性が向上した。また、貝毒による出荷規制一覧表について、これまで通知がある都度、紙に出力して各班が携行していたが、電子化してタブレットで確認できるようにした。 3.監視班同士のコミュニケーションの活性化 検査所の職員は開市日に合わせて早朝監視(卸売場)から通常監視(仲卸店舗等)までローテーション勤務で働いており、これまでは職員同士でコミュニケーションをとることが難しかったが、アプリの掲示板上での会話や、申し送り事項などをアプリ上で確認ができるようになったことで、以前よりチーム内のコミュニケーションが活発になった。 また、緊急時において監視班同士及び事務所との間で情報の同時共有ができるようになり危機管理対応能力が向上した。 (5)横展開に当たってのアドバイス システム構築に当たって、ノーコード/ローコードツールを活用する場合は、最初は業務の一部についてデジタル化し、ユーザーの意見を聞きながら改良するアジャイル型の開発が適している。 また、現場職員が業務改善の強い意志を持つことが重要であるとともに、最初から完璧なものを作ろうと気負い過ぎず、後戻りや軌道修正をいとわないやり方に上司が理解を持つことが大事だと考える。 さらに、デジタルに関して専門的な知見を持つ部署が、現場のことを理解し、親身になって一緒に考えてくれるようなサポート体制が必要である。 ![]() ![]() |
関連 ホームページ |
https://note.com/kouzoukaikaku/n/n316fb9afa927 |
本件問合先 | 福祉保健局健康安全部健康安全課計画担当 |
03-5320-4508 |