本文へスキップします。

全国知事会

 メニュー

TOP先進政策バンク先進政策バンク詳細ページ

先進政策バンク詳細ページ

印刷

タイトル 長野県民は だれでも いつでも どこからでも! ~市町村と県による協働電子図書館「デジとしょ信州」による学びの基盤と公正な社会づくり~
施策・事業名称 市町村と県による協働電子図書館「デジとしょ信州」構築・運営事業
都道府県名 長野県
分野 教育・文化
地域振興・まちづくり
事業実施期間 令和4年8月5日~
施策のポイント 長野県内の全77市町村と県が協働して1つの電子図書館サービスを構築・提供することにより、すべての県民が、だれでもいつでもどこからでも、地域的・身体的・環境的・経済的なバリアを超えて、自由に情報(本)へアクセスできる環境を構築した。
※県内全自治体と県が協働で構築・運営するのは全国初の事例
内容 【運営主体】
市町村と県による協働電子図書館運営委員会
(※長野県内全77市町村と長野県により構成。事務局:県立長野図書館)

【事業の背景・課題】
(1)「情報の形」の変化
デジタル化の進展により、従来、紙媒体が中心だった「情報の形」が大きく変化し、人々の学びや仕事においてデジタルを活用することが必須になっている。図書館においても、一人ひとりの「知りたい・読みたい」に応えるという役割を果たすため、サービスや扱う情報資源のあり方を社会状況の変化に対応させていくことが求められている。
(2)災害等の影響
令和元年度の東日本台風による浸水被害、2年度以降のコロナ禍の影響(※)により、県内図書館においてサービスが継続できない状況が発生した。
(※1回目の緊急事態宣言により長野県内では約7割の図書館が休館)
(3)地域的な条件
長野県には、77の基礎自治体のうち全国で最も多い35の村があり、県全体として小規模自治体の割合が多い状況である。また、公立図書館が未設置の町村が20あるなど、住民がアクセスできる文化的な資源や情報の種類・量は、居住地によって格差がある。

【導入までの経緯】
<R2>上記の背景や課題の解決につながる手段の一つとして、県内で「電子書籍貸出サービス」への関心が高まってきたため、県立長野図書館が令和3年1月に県内公立図書館に対しアンケート調査を実施。その結果、各館単独での導入は財政面・運用面の課題が大きく、市町村を超えた連携への期待が明らかになった。

<R3>県内全市町村が参加する「長野県先端技術活用推進協議会」(事務局:県DX推進課)にワーキンググループ(WG)を立ち上げ、市町村と協働で電子図書館事業を実施するための検討に着手。40回を超えるオンライン会議を重ね、事業の目的に沿った役割分担や費用負担等のスキームについて検討・調整を行った。並行して、電子図書館サービスを提供する複数の事業者と情報交換を行い、前例がない県内全自治体による協働の事業について可能性を探るとともに、システム上の仕様等に関する確認を進めた。そうした実務的な検討協議のほか、首長に対しても市長会や町村会等を通じて重ねて趣旨を説明した。
最終的にすべての市町村から参加表明がなされ、プロポーザル方式による事業者の選定を行い、令和4年度中の協働導入に目途が付いた。また、全市町村の参画が実現したことにより、(公財)長野県市町村振興協会による宝くじ助成金の対象事業となった。

<R4>WGに替わり「市町村と県による協働電子図書館運営委員会」(事務局:県立長野図書館)を立ち上げ、運営に関する具体的な検討・調整を行い、令和4年8月5日(金)から全県でのサービススタートとなった。

【目指す姿】
・市町村と県が協働し、電子書籍の特長を活かしたサービス展開を進めることにより、全ての県民が、居住する地域や世代の違い、障がいの有無等にかかわらず、だれでも、いつでも、どこからでも無償で必要とする情報にアクセスできる環境を構築・運営すること。
・デジタルの力を活用することによって、リアルとバーチャルのベストミックスを図り、社会教育施設としての図書館が果たす役割の一つである、誰もが等しく学べる「学びの基盤づくり」と、誰一人取り残さない「公正な社会づくり」に寄与すること。

【協働のしくみ】
(1)予算面の協働
電子図書館構築・運用に必要な経費について、役割に応じて分担している。
▼分担:市町村
①コンテンツ費用(電子書籍の購入費用)
市町村立図書館・公民館図書室は、住民サービスの最前線として各地域の住民ニーズに応じた電子書籍を選書するため、コンテンツ費用を負担(均等割+人口割により各自治体の負担金を設定)
▼分担:県
②プラットフォーム費用(電子図書館サービスを利用するための基本料。月額)
③初期構築費用(Webサイト等の制作費用。初年度のみ)
県立図書館は市町村図書館等への支援という役割を果たすため、サービス提供の基盤的な経費を負担
※コンテンツ費用について
・令和4、5年度は(公財)長野県市町村振興協会による宝くじ助成金も充当
・令和4年度のみ県企業局特別会計繰入金による「長野県子どもの未来支援基金」も充当

(2)運営面の協働
電子図書館の運営において必要となる規約類やコンテンツ選定基準の作成、担当職員向け研修の実施、広報ツールの作成等の業務を協働で行い、全体としての事務コストを下げるとともに、ノウハウの共有も図ることにより、単独の自治体で導入するよりも効率的で質の高いサービス展開につなげている。
運営は全県で協働して行うが、原則として居住地の公共図書館・公民館図書室を通じて利用申込を受け付け、利用に関するサポートも各館で受けられる体制をとることにより、住民が電子書籍を身近に感じながら活用してもらえる環境を整えている。
※申込窓口を開設していない自治体の住民は、県立図書館の電子申請サービスにより申込可能

【利用対象者】
長野県内の市町村に在住・在勤・在学しており、市町村と県による協働電子図書館の利用申込みをした方

【運営状況】(R4.8.5~R5.3.31)
・利用登録者数:10,780名(すべての市町村に登録者がいる)
・蔵書数:21,195冊
(購入9,990冊、青空文庫(無償)11,196冊、デジタル化地域資料9冊)
・貸出数:57,551冊(約240冊/1日)
・最多貸出年代:40代(21%)、50代(19%)、30代(16%)

【今後に向けて】
引き続き、利用登録促進や利便性向上を図りつつ、目指す姿の実現に向けて下記事項に重点的に取り組んでいく。
(1)読書バリアフリー
・視覚障がい者向け電子図書館「アクセシブルライブラリー」の全県への展開や、福祉関係団体と連携した、障がい者向けサービスの総合的な展開の検討
(2)学校教育との連携
・希望する自治体・学校・学校図書館と連携し、教育現場の方針に配慮しつつ、電子書籍の教材利用等、授業での有効な活用を目指していく。県内の先行事例を共有し、全県への展開方策を検討していく。
(3)地域資料の充実
・学校で使用する地域学習の副読本等、自治体が著作権を持つ資料を電子書籍化し、「デジとしょ信州」に搭載(権利処理、電子書籍ファイル作成)
・地域の関連する機関や企業等との連携により、地方出版物のデジタル化を働きかけていく。
「デジとしょ信州」トップ画面
「デジとしょ信州」トップ画面
「デジとしょ信州」概念図
「デジとしょ信州」概念図
「デジとしょ信州」にある電子書籍で英語の発音を練習する佐久市立野沢小学校の児童たち
「デジとしょ信州」にある電子書籍で英語の発音を練習する佐久市立野沢小学校の児童たち
関連
ホームページ
https://www.knowledge.pref.nagano.lg.jp/collection/elibrary/shinshu-kyodo-library.html
https://shinshu-kyodo-library.overdrive.com/
本件問合先 長野県教育委員会事務局 文化財・生涯学習課
026-235-7439
bunsho@pref.nagano.lg.jp