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タイトル 県内全市町村立学校参加による統合型校務支援システムの共同調達・共同運用の実現と自治体の枠を超えた全県的な学校業務標準化の推進
施策・事業名称 鳥取県自治体ICT共同化推進協議会学校業務システム共同調達・共同運用事業
都道府県名 鳥取県
分野 行財政改革
教育・文化
その他
事業実施期間 平成27年7月31日~
施策のポイント 鳥取県自治体ICT共同化推進協議会を通じ、鳥取県と県内全市町村が連携して、自治体の枠を超えた統合型校務支援システム(鳥取県では「学校業務支援システム」と呼称)の共同調達・共同運用について検討を重ね、平成29年度に県内全市町村参加による共同調達を実現。
システムの導入検討を契機に、学校における業務の標準化(県下統一化)について調整し、教職員業務の効率化及びシステム導入や運用に係るコストの大幅な削減を実現した。
(平成30年4月1日に県内全校で一斉に運用開始し、現在、共同運用中。)
内容 1 現状・課題
検討開始した平成27年7月時点において、県内市町村で校務支援システムを導入している団体は1町のみ。その他の市町村の学校現場では、多くの課題を抱えていた。
<学校現場で抱えていた主な課題>
・通知表や指導要録等の作成作業に大きな負担感。
・各種報告書、週案簿等の作成業務なども負担が大。
・打ち合わせや会議が多く、時間が足りない。
・学校現場では、パソコンに詳しい教職員がエクセルマクロ等で自作したソフトを使い回し、ある程度の自動化はしていたが、各様式間でデータ連携ができないほか、機能が限定的。
・パソコンに詳しい先生が異動すると、自作ソフトのメンテナンスが不能(利用不能)に陥り、業務に支障が出る。
・バグや情報漏えい、データ消滅など、情報セキュリティ面で不安感。
・学校ごとに業務のやり方、様式、システムが異なるので、教職員は人事異動する度に負担が大きい。(非効率)
・校務支援システムは導入したいが、システムが高額で導入できない。
加えて、団体を超えて校務支援システムの共同化を検討するにあたり、解決すべき課題が山積していた。

<システム共同化に係る主な課題>
・各市町村によって、システム導入に対する思い(熱意)に温度差
システム導入を急ぎたい団体、導入に興味が薄い団体、すでに導入積みの団体など、団体により導入に対する思いに温度差
・各市町村によって、希望する費用負担割合の考え方に温度差
・各市町村によって、システムに求める機能に温度差
・業務や各種帳票様式の統一化(標準化)への抵抗感
システム共同化は、団体の枠を超えた業務標準化の絶好のチャンスであるが、検討開始当初は、部会に参加する市町村職員から「学校ごとに文化があり1団体の中で統一化するのも難しいのに全県統一なんて絶対に無理だ。」の声や、「前例はないのに本当に実現できるのか」などの否定的な声が多くあった。
・調達や契約事務の推進体制が脆弱
共同調達を行う上の課題の一つに、誰が、どのように調達し、どのように支払いをするか整理が必要。また協議会は任意団体であり、契約の際に正式な法人格がない。

2 取組内容
(1)意思統一に向けた高度な話し合いの実施
情報システムや情報ネットワーク、情報セキュリティ、システム調達・運用、業務の標準化の推進などの知見を有する県情報政策課(協議会事務局)が主体となり、県教育委員会とも連携しながら、県内全市町村教育委員会とともに共同調達・共同運用、業務の標準化についての協議や団体間の調整に取り組んだ。
・県が市町村を訪問して意見交換した回数・・・4年間で延べ152回(19市町村かける8回)
・各種会議等の開催回数 ・・・・・・・・・・4年間で計59回
※反対意見や慎重意見にも真摯に耳を傾け、部会(全市町村)で協議することで納得性を高めた。また、必要により個別訪問で説明や意見交換を行った。

(2)業務標準化への取組
導入するシステムは、パッケージシステム(ノンカスタマイズ)を基本とし、個別団体のための個別カスタマイズはしないことを部会で決定し、業務の標準化を推進。
あわせて、タスクフォース(部会参加する市町村職員の中からコアメンバーを選定)を立ち上げ、県と共に具体的な検討を開始。全市町村から膨大な数の各種帳票様式を集め、県下統一化(標準化)に向けた検討を行い、タスクフォースから全市町村へ案を提示する形で協議を重ねるなどし、統一化を推進した。
県が代表して、県医師会や県歯科医師会等の団体とも協議を重ね、保健関係帳票の県下統一化にも取り組んだ。
また、システム内の各情報や機能へのアクセスを、アクセス先の情報の内容や性格により、細かく制御(市町村、学校、教職員役職など)すると共に、システム運用要綱を策定し、システムを利用するすべての者が遵守すべき共通のルールを規定した。

(3)推進体制の足場固め
鳥取県と県内全市町村は、各議会において議会の議決を取り、地方自治法第252条の2に基づく「連携協約」及び同法第252条の14「事務の委託」の締結を実現。事務体制の強化を含めた推進体制の足場固めを行った。(県内全団体によるこのような取組は全国に例がない)

3 効果
~県と市町村が連携し、困難な調整を乗り越え、数多くの「全国初」を実現~
(1)【全国初】県内すべての市町村立学校に同一の校務支援システムを一斉導入するとともに、教職員業務を効率化(標準化)
⇒教職員は、「県内どこの学校へ人事異動しても、学校の業務は同じ」を実現
※全市町村立小中学校・・・179校(小学校122校、中学校54校、義務教育学校3校)

(2)【全国初】これまで学校ごとで異なっていたすべての帳票様式(通知表を除く)について、県下統一化(標準化)を実現
⇒検討開始当初776あった帳票様式は、県下統一化(標準化)により、226帳票(29.1%)まで圧縮。(システム導入コスト削減にも寄与)

(3)【全国初】全市町村教委が県下統一化した各種様式をシステム内で電子化。さらに運用要綱において、紙ではなく、システム内に電磁的に記録した情報を"公簿"として正式に位置付けたことで、学校間におけるシームレスでタイムラグのない情報連携を実現。
⇒出席簿、指導要録、通知表成績入力、学校日誌、保健日誌、児童生徒健康診断表など

(4)【全国初】県内の学校への転学、県内の中学校への進学時、システム内で転学・進学処理を行い、指導要録の写しや健康診断票の紙での送付は不要とすることを、県下共通の運用ルールとし、効率化を推進。

(5)【全国初】同システム内に実装させたグループウェア機能を活用し、県内すべての市町村立学校を繋ぐ、情報ネットワーク網を構築。
⇒学校現場だけでなく、全市町村教育委員会及び県教育委員会を安全に情報を共有

(6)【効果絶大】大規模共同調達の割り勘効果、導入システムのノンカスタマイズ方針の決定及び大幅な帳票様式の共通化により、大幅なコスト削減を実現。(約▲81%(▲12億5千万円以上)のコスト削減効果)
(ア)1,555,668千円(全市町村が単独調達した場合の5年間の運用保守費を含む見積合計額の4社平均額)
(イ)302,400千円(共同調達による実際の落札額) ※(ア)と(イ)の差、▲約12億5千万円。

4 その他
【全国初】年々高度化するインターネットを介したサイバー攻撃から児童生徒情報などの学校が保有する重要な情報を守ることを目的に、首長部局と同レベルの強固なセキュリティ対策を県が整備した。
○県は高度な監視と強固な防御機能を備えた自治体情報セキュリティクラウドを構築するにあたり、市町村立学校を含む県下全公立学校を守備範囲に構築
○県が構築した仮想化環境によるネットワーク分離により、市町村立学校を含む県下全公立学校をインターネットリスクから分離(情報漏洩防止)
○さらに、教育系ネットワークの全体構成見直しにより、同システムへのアクセスを教職員系ネットワークに限定し、生徒系ネットワークからも分離(内部犯行防止)
県と全市町村参加による協議風景
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システム共同化で目指したもの
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導入した統合型校務支援システムの概要
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システム共同調達によるコスト削減効果
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