平成27年09月 荒井正吾奈良県知事
地方自治の新しい形「奈良モデル」
本県は、県土の約1/4にあたる北部の地域に人口の9割が集中しており、南部東部の広大な面積の山間地域では、過疎化・高齢化が進んでいます。また、市町村合併が進まなかったこともあり、小規模な市町村が数多く所在しています。
今、全国的に人口減少が大きな課題となる中、本県においても、2040年には39市町村のうち1市を除く全ての市町村において人口が現在より減少すると推計されているところです(国立社会保障・人口問題研究所データより)。
このような状況を踏まえ、地域活力の維持・向上を図るため、本県では「奈良モデル」による取組を進めています。
「奈良モデル」とは、県と市町村、市町村間の連携・協働により、県全体の人的資源、様々な公共施設、財政資源を有効活用し、市町村が自立して質の高い行政サービスを提供し続けていく仕組みです。「奈良モデル」では、県と市町村は対等な関係で協力するパートナーであり、より質の高い住民サービスの提供に頑張っている市町村を積極的に支援することが県の役割だと考えています。
また、「奈良モデル」での取組を実効的なものとするため、本県では、知事と全市町村長が一堂に会する「奈良県・市町村長サミット」を年に6回程度開催し、お互いの課題を把握しながら、活発に意見交換をしています。これにより、県内の市町村長の意識が共有され、良い関係を築いています。
その結果、平成24年には人口減少・高齢化が進む南和地域の医療提供体制の再構築を目指し、県と1市3町8村により、南和広域医療組合(一部事務組合)が設置され、また、平成26年には37市町村で1消防本部を構成する全国的にも例を見ない規模の「消防の広域化」を実現するなど、大きな成果を挙げています。
さらに、平成26年から8市1町(8月31日現在)と「まちづくり協定」を締結し、市町村と連携・協働して地域性を活かした「にぎわいのあるまちづくりプロジェクト」を進めるとともに、財政支援も実施しています。また、市町村水道と県営水道を一体的に捉え、県域全体で水道資産の最適化に取り組む「県域水道のファシリティマネジメント」やごみ処理の広域化のほか、医療・福祉等の分野でも「奈良モデル」の取組が広がっています。
このような成果を受けて、「奈良モデル」は「これからの地方自治の新しい形」として、国からも注目され、高い評価をいただいています。
これからも、「奈良モデル」の取組を積極的に推進することで、奈良県版の地方創生である「住んで良し」「働いて良し」「訪れて良し」の奈良県を目指していきたいと考えています。