「海外移住と文化の交流センター」がオープン~港町神戸から始まった移住の歴史を伝える施設が生まれ変わります~

 海外に新天地を求めて全国から集まってきた781人を乗せた最初のブラジル移民船「笠戸丸」が神戸港から南米ブラジルに向け出港したのが、今から約100年前の明治41年4月28日。その20年後、長い船旅と移住先での生活に備え、予防接種や語学研修などを受けるための施設、後の「神戸移住センター」が開設されました。戦前、戦後を通じて旧神戸移住センターから旅立たれた移住者は25万人に達し、ブラジルの日系人は今や150万人を超えています。
 時代の流れとともにその役割を終えた施設でしたが、我が国に現存する唯一の移住関連施設を県民共有の財産にと、神戸市と連携し保存・再整備を行うことになり、昨年6月、改修工事に着手しました。歴史的価値を生かした移住史の発信拠点として、また、在住外国人の支援・交流を行う多文化共生の拠点等として、今年6月に「海外移住と文化の交流センター」としてリニューアルオープンします。
 この新たな施設の機能は大きく三つに分かれ、一つは「移住ミュージアム機能」です。海外移住の歴史・意義や南米に移り住んだ日系人のルーツの紹介だけでなく、旧神戸移住センターの歴史を通じて国際港都神戸が歩んできた歴史の一端も紹介します。また、移住体験者等による「語り部活動」のほか、さまざまな交流プログラムも開催します。
 二つは、「在住外国人支援機能」です。在住外国人支援団体へ活動スペースを提供し、各種相談や、能力開発、語学習得支援を図るとともに、在住外国人がほかの在住外国人や県民と交流できる場をつくります。
 三つは、「国際芸術交流機能」です。子ども向け学習プログラムの実施や、若手芸術家に作品制作と発表の場を提供し、その育成を支援します。また、海外アーティストとのコラボレーションなど、海外との国際芸術交流を推進するとともに、芸術を軸にした県民の交流活動も行うことで、多文化共生と地域活性化の実現を目指します。
 永年にわたり海外移住の拠点となってきた旧神戸移住センターが交流機能をより充実してリニューアルされることで、多文化共生のまちづくり、そしてよりよい未来づくりへの架け橋となることが期待されています。

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