漆(うるし)生産量日本一~浄法寺(じょうぼうじ)漆の振興を目指して~

 かつて漆は全国各地で生産されていましたが、今では、岩手県、茨城県、栃木県など数県でのみ生産されています。
 中でも岩手県二戸市(にのへし)の浄法寺地域は、国産生漆の約8割を生産する日本一の産地で、その品質は全国の漆芸家や漆器産地はもとより、文化財の修理修復関係者からも高い評価を得ています。
 一方、国産漆の需要は、漆器産業の衰退、安価な外国産漆の輸入などにより低迷しています。二戸市でも、漆掻き職人の高齢化が進み、深刻な担い手不足に加え、手入れが行き届かない漆林の増加など、多くの不安材料を抱えています。
 このような中、行政や漆生産者などの関係者が現状と課題を整理し、平成18年度、浄法寺漆振興戦略を策定し、現在、官民一体となって浄法寺漆の振興に取り組んでいます。
 その取組みの第一は、1.浄法寺漆の市場競争力の強化などを目指した産地認証制度「浄法寺漆認証制度」の創設です。平成21年、認証マークの商標登録が完了しブランド化が一層伸展しています。
 このほか、2.新規需要開拓や漆文化の発信のためのワークショップなどの開催、3.漆資源を次世代に継承していくための漆原木林調査や漆植栽マニュアルの作成、さらには、4.地域一体で漆の産業・文化を守り育てていく機運を醸成する住民参加型イベントの開催、漆の品質向上のための浄法寺漆共進会の一般公開など、課題解決に向けた取組みを集中的に展開しています。
 現在、岩手県が世界遺産の登録を目指している平泉の文化遺産の中でも、中尊寺金色堂は、平安時代の漆工芸の最高傑作と言われており、この修復にも、浄法寺漆がふんだんに使用されました。日本の文化を未来につないでいくためにも、今後、さらなる振興に取り組んでいきます。

お問い合わせ
岩手県県北広域振興局二戸農林振興センター林務室
電話番号 0195-23-9204       

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