世界に発信「魚のゆりかご水田プロジェクト」~人と生きものでにぎわう農村を目指して~

 かつての琵琶湖辺域の水田は、水温が高く、稚魚のエサとなるプランクトンが豊富な上、外敵が少ないなどフナやナマズなどの琵琶湖に住む湖魚にとって稚魚の成育に適した「ゆりかご」のような環境でした。湖魚は、産卵のため水田を目指して琵琶湖から上り、やがて水田で育った稚魚は排水路を通じて琵琶湖に流下していました。このような環境にあった水田を「魚のゆりかご水田」と名付けています。
 しかし、近年、湖岸の開発や農業用排水路の整備などにより、排水路と水田の落差が大きくなったため、魚が水田にまで上れない環境になってしまいました。
 そこで、県では農家、地域、行政などが連携して、魚が水田まで自然に上れるよう魚道をつくり、魚に優しい環境を取り戻し、人と生きものが共生する本来の姿をもう一度取り戻そうと「魚のゆりかご水田プロジェクト」を推進しています。
 昨年(2010年)10月、名古屋市で開催された「生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)」は、400万年を超す歴史を持つ世界屈指の古代湖である琵琶湖の価値をアピールする絶好の機会であるとともに、琵琶湖の生態系保全の取組みを県民との協働により進めている「魚のゆりかご水田プロジェクト」を世界に発信するための機会でもありました。
 COP10の関連行事である国際自治体会議に参加した嘉田知事から、琵琶湖本来の「生き物のにぎわい」と「生き物と人びとの暮らしのつながり」を再生するための取組みとして「魚のゆりかご水田」が発表され、国内外から参加された皆さんに共感をいただくことができ、世界に向けてアピールすることができました。
 県では今後も〝人も生きものもにぎわう農村〟を目指し、本プロジェクトの推進と「魚のゆりかご水田米」のブランド化などに努めていきたいと考えています。

お問い合わせ
滋賀県農政水産部農村振興課
電話番号 077-528-3963
魚のゆりかご水田プロジェクト~湖魚が産卵・成育できる水田環境を取り戻そう~HP
http://www.pref.shiga.jp/g/noson/fish-cradle/index.html

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