広島発 凍結含浸法の実用化と本格普及に向けて

 「凍結含浸法」は、広島県立総合技術研究所食品工業技術センターで発明・確立した、酵素を食材内部に急速導入する一連の技術です。酵素の働きで食材を丸ごと内部からやわらかくすることができ、硬さを制御することで、食材本来の外観を保ったまま、様々な物性・特徴のある食品を製造することができます。
 高齢化の進行に伴い、やわらかい食材の提供という本質的なニーズが高まってくることが予想されており、現在、「凍結含浸法」は、そのニーズに対応できる技術として、介護用食品等で着実に実用化が進んでいます。
 センターでは、特許実施許諾に基づく技術移転に加え、「凍結含浸法」による商品化に必要な技術の高度化研究と技術支援に取り組んできました。今では、野菜、肉、魚介類など100品目以上の食材を品質よくやわらかくできるようになり、これまで延べ14社が「凍結含浸法」を活用した商品化・実用化に成功し、高齢者・介護用食品又はその関連商品の製造販売や食事の提供をしています。日本水産㈱など大手食品企業も昨秋から全国販売を始め、販路・市場供給拡大の第一歩を踏み出したところです。
 また、今年度から新たに3ヵ年計画の本格普及プロジェクト事業を立ち上げ、技術研究面から処理工程の最適化や臨床データの上積みなどを進めながら、技術移転先での生産性の向上を支援しています。さらに、ワークショップ活動や現場利用者・消費者のニーズ調査などのマーケティングを通じて、利用シーンに応じた商品開発を支援し、本格普及を目指していきたいと考えています。

お問合せ
広島県立総合技術研究所食品工業技術センター
電話番号082-251-7433

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